日本の伝承遊び「鬼ごっこ」

日本の伝承遊び「鬼ごっこ」

先週は節分でしたね。
豆まきや恵方巻など、ちゃんとやろうと思うと意外と用意するものが多いですよね。

今回は節分の鬼に絡めて、日本の伝承あそびである鬼ごっこについて深堀りしてみました。

伝承遊びとしての鬼ごっこ

鬼ごっこのルールを大人から改まって教えてもらった記憶のある人はいますか?
こういった昔ながらの遊びの大半は、友達と遊ぶ中で自然とルールを覚えて遊んでいたものではないでしょうか。

今思うと不思議ですが、これには伝承遊びが持つ性質が関係しています。

【伝承遊びの持つ性質】
・ 子どもの遊び集団の中で自然にうまれ、年長者から年少者に代々共有される
・ 固定された形で伝えられるものではなく、より楽しく都合よく変えられて伝わる

こうしてみると鬼ごっこは、上記の性質がよく出た遊びであるといえます。

異なる文化圏においても発生し、ルールの派生が容易である鬼ごっこは形を変えながら現代まで続いている立派な伝承遊びですね。

鬼ごっこの起源

鬼ごっこの種類は、派生した遊びを含めると30種以上あるといわれています。
色鬼や氷鬼などなじみのあるものから「傷鬼(感染)」といった聞きなれないものもあります。「だるまさんが転んだ」も鬼ごっこの一種といえるそうです。

その起源は古く、平安時代の祭事(鬼ごと)を子どもがまねた「ことろことろ」が最古であるといわれています。
とはいえ、「もっと前からあったのでは?」というのが個人的な感想です。

根拠としては以下の2点です。

・ 文化の異なる海外においても同様のルールの遊びが広くみられる
・ 飼育下にある子猿の集団においても「鬼ごっこ」のような規則性の遊びが観測された

以上のことから一定の知能があり、生存環境が一定以上確保されていて子どもが遊ぶゆとりがあるという条件を満たす集団においては、古くから自然発生的に生まれ、遊びとして受け継がれてきたのではないかなと、思っています。

海外の鬼ごっこ

海外においても「鬼ごっこ」に類似した遊びは存在します。

Tag(タグ)」「Catch and catch(キャッチアンドキャッチ)」という遊びで、鬼は「It(イット)」や「Catcher(キャッチャー)」と呼ばれます。
派生ルールの氷鬼や色鬼も共通ルールで遊べるようです。

フィリピン、スリランカ、バングラデシュ、ドイツなど広い地域で同様の遊びが見られますが、興味深かったのはモロッコの「にわとりとイモ虫」という遊び。

ルールが日本の「ことろことろ」とほとんど同じなんです。
異なる言語、異なる文化なのに共通の遊びが生まれているのはなんだか面白いですよね。

日本においても人種の多様化が進む昨今、同じ保育園や学校に様々な人種の子どもたちが通うことが当たり前になりつつあります。

難しい言葉やルールのいらない鬼ごっこは、身近な人のルーツに触れたり、仲良くなったりする手段として、実はかなり良いものなのかもしれません。

鬼ごっこ、侮れません。

スタッフ 福山

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