おもちゃの安全:塗料編

おもちゃの安全:塗料編

「EN71適合塗料を使用しています」
「食品安全法をクリアした塗料を使用しています」

おもちゃの安全性がアピールされるときによく目にするフレーズかと思います。

なんとなく「安全なんだな」というのは分かっても具体的な理解には結びついていないのが現状なのではないでしょうか。

そこで今回はおもちゃに使われる塗料の安全規格やその安全性について、分かり易くお伝えしていきたいと思います。

 

◆CEマークと「EN71」

1950年代のヨーロッパでは、国によって製品の安全規格が異なっていたため製品の自由な流通が妨げられていました。

そこで「規格を統一して、より安全に、自由な流通を保証しよう」という目的で、共通の規格が設定されました。この規格をクリアした製品につけられるのがCEマークです。

CEマークが必要な製品は産業機械や電気製品など多岐に渡りますが、製品の種類によって異なるEU指令を守る必要があります。

もちろんおもちゃにも玩具指令が設けられており、その中で定められる安全要件が「EN71」になります。

EN71の規定は14歳未満の子どもが遊びの中で使用するよう設計された又はそれを意図してつくられた製品に適用され、part1~13にものぼる項目が設定されています。

その中でもpart3が、今回のテーマである塗料に関わりのある項目です。

特定の原料について子どもが食べた場合を想定した時の規制値を設定し、玩具中の重金属類が接触・誤飲により健康に影響を与えないかがチェックされています。

 

◆食品安全法と塗料

食品衛生法とは、飲食によって生じる危害の発生を防止する目的で定められている日本の法律です。

おもちゃに関していえば、乳幼児(6歳未満)が接触して健康に影響すると考えられるものを対象としています。

食品衛生法で定められるおもちゃの規格基準は11の項目に分類されており、その4つ目に「おもちゃの塗膜」について基準や測定方法が決められています。

「塗膜」についての規定なので、塗料(液体)ではなく物に塗って完全に乾いた状態で試験が行われます。

 

◆どんな塗料があるの?

おもちゃに使っても安全な塗料とは実際どんなものがあるのでしょうか?

例えば隈本コマさんがおもちゃの塗装に使用しているリボスやオスモカラーの塗料は自然由来の原料がメインに使われています。

どちらも亜麻仁油やひまわり油、大豆油などのオイルを使用し、塗膜を形成しない塗料であることが特徴です。

塗膜を形成しないということは木の表面を覆わないので、木の呼吸を妨げることがありません。木にも優しい塗料である、ということですね。

また天然素材だからといってアレルギー反応がでない・無害であるということではありません。

そのためリボス社の塗料は限りなく毒性の低い溶剤を取り入れるなど人にも木にも優しい塗料の開発が続けられています。

 

◆おもちゃが色落ちした!大丈夫?

安全基準を満たしている塗料を使用したおもちゃに関しては問題ありません。

色落ちしない、ということは色止めの成分が強いということです。

色止めの力を強くするとその分有害物質も入ることになってしまうので、CE規定では無害な水性ラッカーを使用するよう定められています。

水性ラッカーは色止めの力が弱く、着色料も食品に使われているものと同じなので健康を害するものではありません。

 

今回はおもちゃの安全性、とりわけ塗料の安全規格について解説しました。

乳幼児のうちはなんでも口に入れがちなので、出来るだけ安全なものを。と思うのは当然の親心ですよね。

今回の読みもので、おもちゃにもっと安心感を持ってもらえたら幸いです。

編集スタッフ 福山

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